ネット投票って本当にそんなにいいと思いますか?

今日は「ちょっと納得いかないなあ」と思うことについて書きたいと思います。

 

おれはNewsPicks(以下NP)というところにここ2年ほど入り浸っていたのですが、
そこのコメ欄には独特の空気というか「NP世論」的なものがあるように思います。

傾向として、同じ話題には同じようなコメントがつきます。
ので、「だいたいこんなコメ欄だろうな」と読む前から想像できたりします。

そんな話題のひとつに、「ネット投票」があります。

 

昨日もこんな記事を目にしました。

newspicks.com

 

この記事のコメ欄を見てもわかると思いますが、
ネット投票についてのNP世論は、賛成です。

 これはこの記事に限らず、ネット投票が取り上げられた記事のコメ欄はすべて同じような感じになります。ときには「ネット投票について特に触れられていない選挙関連記事」のコメ欄がネット投票賛成の声で埋まることもあります。

 

このように、NPでは圧倒的多数の人々が「ネット投票」の一刻も早い実現を待ちわびているように見えます。本当に多くの人達(体感では8割以上)がそうなので、おれは少し不安になります。

 

みんな本当に、心から、そう思っているのでしょうか?

それとも、影響力のあるユーザー(たとえば堀江貴文さん)がそう言っているから流されている、という部分もあるのでしょうか?

なんか、あんまりにも極端な気がするんですよね……。

 

そこのところがよくわからないので、
今回おれが思う「ネット投票」について少し書かせていただこうかと思います。

ネット投票のメリット・デメリット・リスクをそれぞれまとめていきます。

 

 

ネット投票のメリット

まず、ネット投票のメリットについて。

いろいろあると思いますけど要は、利便性が上がることがメリットですよね。

で、それによって様々な波及効果が期待できる、と。
そんな感じですよね?

波及効果について、NPでよく見かける代表的な意見を下に記します。

  • 若年者がもっと投票する(かもしれない)ので、シルバーデモクラシー(NPに集うNP民が毛嫌いしています)打倒に繋がる
  • 無党派層がもっと投票する(かもしれない)ので、既得権(NP民が毛嫌いしています)側の組織票が力を失う
  • ネット投票化はコスト削減になり、選挙にかかる税金を減らせる
  • とにかく投票率が上がる!

概ねこんな感じでしょう。
(賛成派の方、違う点や追加などあれば是非ご指摘ください)

 

 

ネット投票のデメリット

次にデメリットについて。

これ、よく言われるのは「ポピュリズムが蔓延する」というやつですね。

気軽に投票できるようになると、よく考えずに投票する人が増える。
そうなると、政策ではなくイメージ重視の選挙戦になっていく。
(現状でも結構そうだから、それがもっとひどくなる感じでしょうか……)

とりあえず耳障りのよいフレーズを連呼していれば通る、イケメン候補者や美人すぎる()候補者を立てれば通る、有名人だったら通る、みたいなことになる可能性は、、残念ながらあると思います。

 

あと言われるのは「ネットを使えない人が困る」というやつでしょうか。

これは老人がネット使えないとかそういうのもありますが、貧困層とかでネット環境を持ちたくても持てない人(そもそも住所がない可能性もありますが……)が投票できないと公平性が担保できないとか、そういうことです。

これがあるので、ネット投票への完全移行はなかなかできないでしょう。投票所は引き続き残ることになると思います。投開票にかかるコストを劇的に減らすことはできないと思われます。少なくとも当分は。

 

 

ネット投票のリスク

次にリスクについて。

既にお気づきかと思いますがおれはネット投票に慎重の立場です。

これはNPのコメ欄でも再三表明していることですが、その理由は、
期待されるメリットに対してリスクが大きすぎるからです。

 

以下、想定されるリスクを列記します。

  1. システムエラーによる投票の無効化の可能性
  2. 投票内容の漏洩の可能性
  3. 外部からの攻撃による投票結果改ざんの可能性
  4. 本人確認情報と投票内容との紐付けが秘密裏に行われる可能性
  5. 権力による投票結果改ざんの可能性
  6. 投票の秘密が確保されない
  7. そのため、不正投票を防げない

 

1~3は、セキュリティ的な問題ですね。

4~5は、権力の暴走を防げるか、という問題です。

6~7は、投票の秘密と不正の問題ですね。

それぞれをリスクⅠ~Ⅲとして、少し詳しく書いてみます。

 

 

リスクⅠ:セキュリティ

デジタルでやる以上、これまでとは違ったセキュリティ上のリスクが発生するのは当然のことです。

また、これは当然ながら絶対に不具合があってはならないシステムになります。
一斉に大量の負荷がかかることにも耐える必要がありますし、敵対する国家等によるシステムへの大規模な攻撃があったとしても耐えなければなりません。

「ネットバンキングができるんだから、ネット投票だってできるだろ」

という声をよく見かけますが、条件的には結構違うようにも感じます。

 

まあセキュリティ面については技術屋さんに粉骨砕身尽力してもらうことで解決できると仮定して、粉骨砕身してもらう以上、そのコストはそれなりにかかってくるだろうと思います。というか、ここでケチると不安なのでコストはかけるべきでしょう。

やはり、「ネット投票でコスト削減」的なことにはなかなかならないような気がします。

 

 

リスクⅡ:権力の暴走

アナログな紙からデジタルデータになることで、データの改ざんがしやすくなるのではないか、という懸念があります。権力側による不正の可能性ですね。

有権者が投じた票が正しく管理されていることを、有権者自身が知る術はあるのでしょうか。おれはそんなに権力を信用していないので、この点少しこわいです。

気づかないうちに投票結果が操作されていた……なんてことが起きた場合に、アナログな紙と違って証拠が残りづらいのではないでしょうか。
現状の仕組みでももちろん権力による不正はあり得ますが、デジタルになるとそれがよりしやすくなるのではないかと、不安です。(基本おれビビリですから)

 

また、ネット投票時にはおそらく、マイナンバー等何らかの方法で本人確認をした上で投票することになると思います。そしておそらく、「本人確認と投票の有無」と「どの候補者に投票したか」というデータは完全に切り離されて処理されるはずです。そうでないと秘密投票にならないからです。

ただ、おれはそんなに権力を信用していないので、「建前はそうでも紐付けできるようにされていたらどうしよう」という懸念がすこーしあります。

「あいつはこの党に入れているから公安にマークさせよう」

なんてことが……あったらやだなあ、と。

 

 

リスクⅢ:投票の秘密と不正

日本国憲法では投票の秘密を保証しています。

すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

日本国憲法第15条 - Wikipedia

 

しかし、ネット投票ではこの投票の秘密を確保することは非常に難しいと思われます。

どこでも投票できるのであれば、誰に見られるかわかりません。投票所で衝立に囲まれて鉛筆を走らせるのとは全く環境が異なります。

身近な例では、ネット投票ができないおじいちゃんおばあちゃんのために、孫が代わりにスマホを使って投票してあげる、あるいは介護士が頼まれて……等、投票の秘密が確保できないケースが日本中で発生するだろうと思われます。

 

そして、投票の秘密が確保できない故に、不正の発生を防げないのではないかと思います。

先程のおじいちゃんおばあちゃんの例で言えば、「たしかにAさんに投票したよ」と言いながら、孫や介護士が他の候補者に投票する、ということは十分可能でしょう。

 

また、組織票がより捗るという面もあるのではないかと思います。

 

「○○党に投票してほしいの」

「わかったよ(面倒だからそう言っておこう)」

「じゃあ今ここで投票して、完了の画面見せて」

ぐぬぬ

 

的なことが、日本中のサイゼリヤで起きるかもしれません。

 

「大口取引先から投票依頼を受けたので、今回の選挙では全社員B候補に投票するように」

「はい(面倒だからそう言っておこう)」

「それではさっそくみなさん先ほど送ったURLにアクセスしてください、今からいっしょに投票しましょう」

ぐぬぬ

 

というようなことも考えられないでしょうか。

 

投票の秘密が守られないというのは問題だと思います。

 

こうして強制された投票を無効化するため、
投票のやり直しをできるようにするという方法もあるようですが、
やり直しの時間がない投票締め切り直前に投票させられたり、
やり直しできないように投票締切まで拘束されたりという場合には、
この方法でも不正を防げないだろうと思われます。

 

 

まとめ

こうしてメリット・デメリット・リスクをまとめてみましたが、
おれはやはり、期待されるメリットに対してリスクが大きすぎると思います。

 

選挙は民主主義の根幹であり、政治の根幹だと思います。とても大事なもので、だからこそ、できる限り確実に実施できる方法で行うべきだと思うのです。

将来にわたってネット投票を否定するわけではありませんが、現状ですぐにでも実現を願うような状況だとは、どうしても思えません。ましてや、先進国で他に実施している国がない状態で、他国に先駆けて実施すべき!という意見には同意できません。

やるなら他の先進国で実施されてから、前例を十分に研究しリスクに備えてからでいいと思います。

 

みなさんはどう思われますか?

やっぱり賛成ですか?